1997年7月1日にイギリスから中国に返還された香港は、返還後の50年間は現状の政治・経済制度が維持されることが中国側から提案されて今日に至っています。
具体的には、一つの国のなかに社会主義と資本主義の二つの制度が共存することを意味します。
この提案は遠くない将来、武力によらずに台湾を併合する目的で、提案されたようです。
要するに、「中国の一部となった場合でも、なんら支障なく今と同じ生活ができますよ」と台湾人を安心させる目的があったようです。
ただし、中国もバカではありませんから、その同じ生活には期限を設けると思います。現に香港で50年間の期限を設けてありますから。
さて、香港において、中国が一国二制度を快く設けた当時は、香港がイギリス統治下において国際金融センターの役割を果たしており、いわゆる金の成る木そのものだったからです。
それをいきなり廃止して併合した場合、当時貧しく外貨の欲しかった中国としては避けたかったところです。
現在の中国は、政治体制は、共産党一党独裁で国民の自由を抑圧したままで、経済は、外国企業を受け入れ資本主義化しています。
当時、外国企業は香港経由で中国本土と取引していましたが、今では直接取引しています。
ということは、金の成る木であった香港の必要性が薄れてきたわけです。
香港を保全しなければならないといった大前提が崩れたのを受けて、中国は香港の中国化を目指して、教育制度へ介入したり、選挙制度への介入を進めて香港市民への圧力を強めております。
香港政府の長を決める選挙では、事実上、中国政府の認定した候補者しか当選できないシステムを作り上げています。
2014年、それに反対したデモが雨傘運動です。
その時は、市民の大多数の支持が得られず成功しませんでした。
ある日突然、中国共産党政府に拘束された場合は、自らの生命にも関わる「逃亡犯条例改正案」撤回を求めて3ヵ月あまり続いている今回のデモは、200万人を超える香港市民が自主的に参加しております。
本日9月4日(水)、香港政府は、「逃亡犯条例改正案」撤回を表明しましたが、長官辞任要求、さらには、民主的選挙制度の回復などを要求してデモは続くことになると思います。
返還された年から数えて22年間で、中国本土側によって簡単に一国二制度は崩されてきておりますから、50年間維持する約束は反故になりました。
自由を求めての Recovery(リカバリー:回復)への香港市民による闘いはこれからも熱く続いていくことでしょう。